Local’sが愛してやまないスポットを紹介

国内に流通している羊肉のうち、道産はわずか0.6% 雄大な自然で育つ北海道の羊のうまさを、たくさんの人に楽しんでもらいたいという思いで、4月末にオープンしたのが「羊八」だ。産地ごとの個性を食べ比べて好みの味を見つけられるよう、その日の仕入れ状況によって変わる道産2種、オーストラ リア産2種の計4種を提供。目玉 は道産だけにあらず、オージーラムの最高峰と謳われるラムオブタスマニアもぜひ一度試してみてほしい。いずれもオーダーが入るごとに オープンキッチンでブロックから一 枚一枚丁寧に手切りし、一枚目は焼 き方のコツを説明しながらスタッフが焼いてくれる。お供には、店内のセラーに常時60種類をそろえるナチュールワインを。

ジンギスカンの人気店がひしめくすすきのの中心部にありながら、訪れる人の7割ほどが地元客だという、地域に根差した一軒。味のある石造りの建物は元々質蔵として使われており、隠れ家的な雰囲気。大多数がオーダーするのは一皿に生ラム・ラム・マトンの各種が盛られた「盛り合わせ」で、一度に異なる3つの肉を食べ比べできると好評。二皿目からはその中から 好きなものを単品で追加注文。半頭飼いで仕入れるアイスランド産ラムは、その赤身の柔らかさと脂の質から、今までジンギスカンが苦手だったという人にも評判だ。〆には肉の旨味と脂がよく 馴染んだタレにダシ汁を加えたスープ で食べる名物「あがりラーメン」も必 ず味わっておきたい。

昼はラーメン、夜は居酒屋として営業している同店の小上がりを改装して始めたのが「アルコ」。フレンチ出身のマスター・別所徹さんが、欧州ではポピュラーな食材である羊肉への思い入れを持つことや、札幌の名店の味に感銘を受けたことからジンギスカンへの転換を決意。肉は「ジンギスカン」の1種類のみ。ニュージーランド産のマトンを半頭で仕入れ、4つの部位を一皿に盛り合わせている。赤身のモモでも脂のあるバラでも、噛みしめるほどにあっさりとして嫌味のない肉汁があふれる。「マトンは固くクセが強い」というイメージを覆されるに違いない。一点集中したい時にも、気軽につまみたい時にも、どんな気分でも対応できる稀な専門店である。

メニューに厚切りがあるのではなく、デフォルトで厚さ8㎜のラム肉を味わえるのがこの「羊庭｣。仕込みの段階でじっくり水分を抜くことで、うま味を残したまま臭みを取り除いているため、厚く切ってもクセのない味わいだ。タレは醤油ベースにレモンの酸味を加えた「あっさり醤油」、コチュジャンやニンニク入りの「ピリ辛醤油」の2種で、5種の薬味やチーズのトッピングなど、好みの味付けを選べるのもうれしい。注目は和食歴20年以上という料理長・工藤豪さんの手によるオリジナル自家製ポン酢ジュレを使った「ラムタンポン酢」や「生ラムたたき」は人気が高く、中でも「ラムそぼろのビビンバ」は食べ終えたその場でリピートがかかることも。

L字型に配置された厨房にオーブンなテーブル席で、どこか大衆食堂然とした店内。店主・松村秀則さんの両親が、月寒で精肉店とジンギスカン店を営んでいた母の実家の味を引き継いで20年ほど前に創業したのが「ふくろう亭」だ。一子相伝のタレは、ニンニクとショウガを効かせていくつもの香辛料を配合した、スパイシーで肉の甘みを引き立てる名脇役。主役の生ラムは、オーストラリア産の肩ロース。脂が多過ぎず、適度にサシが入っていて質の高さをうかがわせる。ライスを注文し、肉のエキスが溶け込んだタレと番茶を注いで作る茶漬けが定番だ。本場のジンギスカンを味わい尽くしたいという実感に浸れる、札幌ジンギスカンの王道を行く店である。